おひとりさまのライフプラン
「日本の世帯数の将来推計」(国立社会保障・人口問題研究所)によると、2040年には単独世帯が39.3%となり、全世帯の4割を占めると予想されています。
食事や旅行など、一人を楽しむ方たち向けのサービスが拡充され、多様な生き方の選択肢の一つとして、今後も増加するだろうと言われています。自由に使えるお金が多いのがこの世帯の特徴ですが、ここでは、将来的に直面するであろう生活面や経済面でのリスクを見ていきましょう。
1.健康
自身が病気、事故等で働けなくなった際の収入減に備えておく必要があります。例えば、がんと診断された場合、厚生労働省がん研究助成金「がんの社会学」に関する合同研究班の調査によると、がん診断後、勤め人のうち約31%が依願退職、約4%が解雇、自営業者で約17%が廃業というデータがあります。また、朝日新聞のがんと就労データ集によると、有収入者の収入変化では「変化なし」が約58%だったものの、「1ランク以上ダウン」「収入なし」を合わせると約41%になる、という調査結果もあります。
がんに限らず、様々な病気で離職を余儀なくされたり、復帰に時間がかかったり、精神疾患等にかかるリスクも考え、予備費として生活費の半年分くらいは最低限、備えておきたいところです。
また、高齢になってからの入院では、頼れる親族がいないと保証人探しに難航したり、退院後の生活支援のためのヘルパーを頼むなどの費用が別途必要になったりします。病院や老人ホームに入居する際の身元引受人は、本人に費用が払えないときの費用の負担や退去時の身元引き取り、万が一亡くなった場合の整理などで必ず指定しなくてはならないため、もし、頼める人が親族にいない場合は、NPOなどへ費用を払って委託する必要があります。
経済的に費用を備えておくだけでなく、生活習慣を整える、定期的に運動をする、などの健康管理も忘れずにしておきたいですね。
2.老後
1人暮らしの場合、複数人で生活する場合と比べて、生活費は相対的に高くなる傾向にあります。ただ、孫や子供のお祝いなどといった突発的な出費もあまりないので、老後のマネープランは立てやすいといえるでしょう。年金定期便で年金額を確認したり、老後の生活水準を考えて、退職時にどの程度資産があればゆとりある生活ができるのか、逆算して備えておくのがおすすめです。
また、先の身元引受人同様、死後の諸々の手続きについては考えておく必要があります。近年40代、50代の働き盛りでも突然死に至ることは珍しいことではありません。近しい親族に頼む、代行してくれる業者と契約しておくなど、早めに準備しておくのが望ましいでしょう。
3.介護
将来親が介護状態になった場合の金銭的、身体的な負担がかかるおそれがあります。独身者の場合、身動きがとりやすい、また金銭的にも自由になるお金が多いことから、ご兄弟がいたとしても任されてしまうケースがよくあるようです。介護離職とならないためにも、介護される側の親御さんのお気持ちを事前に聞いておき、金銭面での援助が必要かどうか、兄弟姉妹でどのように分担するのかを話し合っておくのが良いとされています。また、親と同居している場合、介護施設に入るために自宅を売却することになった場合、住むところがなくなるといったことも想定されるため、場合によっては介護保障保険などに加入する、といった対策をとったほうがいい場合もあります。
4.住宅
住居については都市部かどうかによっても変わってきますが、購入するか、賃貸にするか、シングルの方は悩まれるところだと思います。賃貸の場合、現役世代のころは、賃貸のほうが身軽でいいという場合もありますが、多くは高齢になると貸してくれるところがなくなってきます。高齢を理由に更新を拒否されることもあるようなので、身元を保証してくれる人がいない場合は注意が必要です。
次に購入する場合ですが、住居を購入する場合は住宅ローンを組むことが多いと思います。できるだけ退職前までに、ローンを払い終えるような状況が望ましいのですが、すでに40代50代である場合には払い込みを終えるのは難しいかもしれません。昨今、住宅ローンの金利がかなり低い水準になっているため、将来的に金利が上昇し、支払い金額が想定よりも増加した場合、収入がなければ支払うことが難しくなってしまいます。ただ場所によっては資産としての価値があるので、将来自身が介護施設に移ることがあった場合に売ったり、貸し出したりすることもできます。
いかがでしたでしょうか?身軽なシングル生活を満喫していらっしゃる方も多いと思いますが、こうして並べてみると思いのほか考えておくことが多いと感じました。また、ここにあることは「シングルだから」ではなく、夫婦のみの世帯やお子様がいる世帯にも当てはまります。なんとなく面倒で先延ばしにしがちですが、お金の問題は何かあってからでは間に合いません。
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