税金、いくら払っていますか?
作成日:2022/8/20
一般的に会社員や公務員の方は、税金や社会保険料などの経費が引かれた状態で給与が振り込まれます。ご自身がいくら稼いでおり、どれくらい税金や社会保険料を払っているのかご存知ですか?
「収入」と「所得」の違い
税金や社会保険料を算出するベースとなる所得のことを課税所得と言います。課税所得について理解するには、まず「収入」と「所得」の違いを理解しておく必要があります。「収入」とは、お勤め先からご自身に支払われる給与・賞与の合計のことで、源泉徴収票上の「支払金額」欄を指します。この欄に書かれている金額がご自身の「年収」であり、毎月の給与明細の「総支給額」に書かれている金額が「月収」となります。続いて「所得」とは、収入から「給与所得控除」を引いた後の金額のことをいいます。源泉徴収票上では、「給与所得控除後の金額」と書かれております。以下が、2018年度の収入別にみる給与所得控除額となります。
(参照:No.1410 給与所得控除/国税庁)
そして、「給与所得控除後の金額」から基礎控除(38万円)や配偶者控除、社会保険料控除や生命保険料控除等を差し引いたものを「課税所得」といい、所得税や住民税は課税所得をもとに計算することになります。源泉徴収票上には「課税所得」の欄はありませんが、「給与所得控除後の金額」からその横の「所得控除の額の合計額」を引いた金額が「課税所得」となります。ぜひ、ご自身の源泉徴収票で確認してみてください。
◆年収500万円の世帯の場合、課税所得はいくらになるのか、例を挙げてみてみましょう。
①
②
③
④
①支払金額 5,000,000円
②給与所得控除後の金額 3,460,000円
給与所得控除額(上記一覧表より)=500万円×20%+54万円=154万円
①500万円-給与所得控除額(154万円)=346万円
③所得控除の額の合計額 1,100,000円
所得控除の額の合計=社会保険料控除(72万円※)+基礎控除(38万円)=110万円
※社会保険料控除=500万円×{雇用保険(0.3%)+健康保険(4.95%)+厚生年金(9.15%)=72万円
●配偶者控除・扶養控除・生命保険料控除などがある場合は各控除を加算することができます。
●40歳以上の場合は介護保険料0.825%を加算、月収・賞与の割合により計算は異なります。
④源泉徴収税額 138,500円
源泉徴収税額=課税所得(346万円-110万円)×10%-97,500円=138,500円 ※2013年~2037年までは復興特別所得税(原則としてその年分の基準所得税額の2.1%)も加算
つまり、年収500万円の場合、課税所得は【②給与所得控除後の金額(346万円)-③所得控除の額の合計額(110万円)=236万円】となります。この課税所得から下記表の税率に合わせて所得税が計算され、④源泉徴収税額が決定するというわけです。
(参照:No.2260 所得税の税率/国税庁)
この課税所得を抑えるものが【③所得控除の額の合計】であり、配偶者控除(配偶者特別控除)や扶養控除、生命保険料控除や住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)があります。今回の計算ではこれらの控除を加味していないため、家族構成や生命保険、住宅ローンの有無により課税所得の額は異なります。
いかがでしたでしょうか?源泉徴収票を正しく理解し課税所得がわかることで、ご自身の所得税・住民税の計算方法を理解することができます。住宅ローン控除や配偶者控除、医療費控除やふるさと納税(寄付金控除)などの控除を無駄なく適切に受けられるように、ご自身の収入情報をしっかりと把握しておくと良いでしょう。